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 研究インタビュー

   「大地震の揺れを可視化する」

    (話:古村孝志教授、聞き手:中尾彰宏准教授)

 

中尾:「先生の研究室は、どのような研究を行っていますか?」

古村:「今年の4月に、東大地震研究所から新設の総合防災情報研究センター(CIDIR)に異動しました。国内外の地震計データを分析と、スーパーコンピュータを用いた地震の再現・災害に関する研究を進めています。」>

古村:「日本列島には1800カ所以上に地震計(強震計)が設置されており、各地の揺れのようすがよくわかります。地下の岩石の堅さ・柔らかさにより、地震の揺れは大きく異なります。地下構造データを精密に組み込んだ、コンピュータシミュレーションを行うことにより大地震の揺れを再現・予測します。」

古村:「観測データがあれば、被害の起きた大地震の揺れの発生原因を突き止め、将来の大地震の揺れに備えることができます。コンピュータシミュレーションにより将来の大地震の揺れを正確に予測して、十分な耐震性を持つ安全なまちづくりに生かしたいです。」

 

古村教授

 

中尾:「コンピュータは、地震災害軽減に役立つのでしょうか?」」

古村:「地震国日本にとって、地震予知は重要な課題です。仮に大地震が発生したらどのような揺れが発生し、伝わり、建物にどのような影響が起きるかを予め調べることも、防災の面で重要です。コンピュータの中に地震を起こす、コンピュータシミュレーションは地震防災の強力な味方です。」

古村:「日本列島規模のシミュレーションはかなり大がかりになりますから、大きな計算機が必要です。私たちは、研究室のPCクラスタや、地震研究所の並列計算機、海洋研究開発機構の地球シミュレータなどを駆使して大規模計算を進めています。何万個のCPUを使って進める並列計算コードも手作りです。2011年には、地球シミュレータの数百倍の性能を持つ「京速計算機」(理化学研究所)が完成します。これに向けて、東大情報基盤センターのT2Kスパコンを使って、京速計算機向けにプログラム改良を進めています。」

 

 

古村:「地震の揺れの可視化も重要な研究テーマです。現在は、地表の揺れの可視化を重点的に進めていますが、地下を伝わる地震波の3次元ボリューム可視化も必要です。地震波の伝播は弾性体中の擾乱現象ですから、それ自体は大変複雑な動きをします。この中から、被害に結びつく重要な現象を見える形で取り出し、わかりやすく・リアルに表現する方法の開発を手探りで進めています。実は、可視化には計算自体と同程度の時間がかかっています。高速可視化のアルゴリズムの開発や、GPU等の最新のハードウエアを用いた高速化も検討しています。」

中尾:「研究室にはどんな院生がおられますか?」」

古村:「情報学環からの大学院生募集はこれからです。現在、研究室には、理学系研究科(固体地球科学)の4名の大学院生(修士、博士)が在籍しています。研究テーマは、関東平野で生成する長周期地震動、地殻の不均質性と地震波の散乱、諏訪盆地での異常な地震動増幅、首都直下地震と震度など、一見地味ではありますが、地震計データの分析とコンピュータシミュレーションによる揺れの再現・検証をこつこつと進めています。」

古村:「大学院への進学者は国立・私立大の理学部・理工学部等からの入学のほか、1名は社会人ドクターとして、ソフトウエア関連会社と大学を行き来しながら博士論文を執筆しています。このほか、2名のPD(博士研究員)が、地震と津波のコンピュータシミュレーションと可視化の研究を進めています。」

古村:「これまでの卒業生(修士修了)は2名ですが、1名は国立研究所にシステムエンジニアとして勤務、もう1名は、外資系ソフトウエア会社(Windows OS開発で有名な)でセールスエンジニアとして官公庁を担当しているようです。」

古村:「これまでの大学院生は学部で物理学、地震学、地震工学を学んだ人が圧倒的でしたが、計算科学、応用数学などの知識を地震(弾性体中の微少変形)や津波(非圧縮性流体の流れ)シミュレーションに適用する意欲のある人、地震動と津波の可視化に興味のある人を待っています。」

 

 


   
       
   
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