中尾:「おもしろそうな研究テーマですね。」
石川:具体的には,「人間がとらえる空間・感じる空間とは?」 と 「空間情報の表現の仕方とは?」
という2つを主要なテーマとしています。
1つ目のテーマでは,私たちが空間の知識を獲得し,
頭の中に記憶し,その知識を利用する一連のプロセスと,得られた知識("頭の中の地図")の
構造について,とくに興味をもって研究をおこなっています。また,私たちはどのような景観・景色を
好ましいと思うのかなどといった,空間における人間の心理的・感情的側面(環境心理)も重要な
研究課題のひとつです。
2つ目のテーマでは,利用者の属性や状況・目的に応じて効果的に空間の情報を提示する方法
について研究をおこなっています。とくに,各種ビジュアリゼーションの技法やユビキタスネットワーキングを
代表とする新しい情報技術と,それを利用する人間の認知・行動の問題に関心をもっています。」
ユビキタス空間情報社会基盤
中尾:「ユビキタスコンピューティングと空間情報が結び付いてくるのですね。」
石川:「最近では,空間情報はユビキタス情報社会基盤の整備において重要な役割を果たす存在として
注目されており,「場所」をキーとして,「いつでも・どこでも・誰でも」が情報を得ることの
できる社会の構築が試みられています。私は上記のような研究を通して,
「いつ」,「どこで」,「どのような人に」,「どのような目的で」,「どのような方法で」情報を提示すればよいかということを考え,
来たるべきユビキタス空間情報社会の実現に少しでも貢献できればと思っています。」
中尾:「研究室で学生が挑戦するとおもしろいと思われる具体的なテーマはありますか?」
石川:「空間認知関連では,「人間の頭の中の地図はどうなっているのだろう?」 「道に迷いやすい人と
そうでない人がいるのはなぜ?」 「方向感覚のいいトレーニング方法はあるの?」 「住みたくなる
都市景観・環境とはどのようなものだろう?」 などが挙げられますね。
情報の表現に関しては,「効果的なナビゲーションシステムとは?」 「地図で道案内する,それとも
言葉で説明する?」 「2つ目の角を左に曲がる,それとも西に曲がる?」 「3次元や動画は地図
よりも有利?」 「あるべきユビキタス空間情報社会の姿とは?」 などでしょうか。
もちろんこれらは一例に過ぎませんので,他にも自由にテーマを設定していただくことができます。」
中尾:「どれも身近な題材ですが,実際に調べてみると興味深いことが発見できそうなテーマですね。」
石川:はい,データに基づき実証的に調べるということのおもしろさを知ってもらえればと思います。」
情報・空間・人間に関する知識・興味と,"なぜ?"への情熱を
中尾:「研究室に入るために前もって必要な知識などはありますか?」
石川:「学部レベルでの基礎的な知識や考える能力をもっている方であれば,
専門的なことは入学後にじっくり勉強してもらえばいいと考えています。情報・技術の視点からはコンピュータサイエンスの
知識をもっている方,空間学という視点からは地理・都市・建築・社会基盤などの知識をもっている方,そして
人間・社会という視点からは心理・言語・哲学などの知識をもっている方ということになるでしょうか。これらのうち
いずれか一つ自分の強みとなる基礎知識があり,また「なぜ?」という疑問をもちそれを実際に確かめよう
という好奇心の旺盛な方を歓迎します。」
中尾:「学生にはどのようなことを期待していますか?」
石川:「空間情報科学とは,まだ新しくこれから更なる発展を遂げようとしている分野です。その中でも人間の
認知・心理的側面の研究は最近注目を集めており,さらに近年ではユビキタス空間情報社会基盤の
整備という観点から,空間と情報のつながりも緊密になってきています。空間・情報・都市・人間に関する
さまざまな興味・バックグラウンドをもったみなさんが,授業・研究への参加を通して新しい視点をもたらしてくれることを期待しています。」
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