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 研究インタビュー

   「実世界指向インタフェース」

  (話:暦本純一教授、聞き手:中尾彰宏准教授)

 

 

中尾「まずはありきたりな質問ですが、暦本先生の研究室では、どういう研究をしていますか?」

暦本「全体としては「実世界指向ユーザインタフェース」をテーマとして掲げています。現実世界での人間と、人工物との関係をよくしようというヒューマンコンピュータインタフェースの研究ですね。ユーザインタフェースというと、コンピュータの画面の中のインタフェース、いわゆるGUIの研究をしているところも多いのですが、私の研究室では現実世界に飛び出したコンピュータと人間との関係にとくに興味を持っています。ユビキタスコンピューティングとも密接に関連する分野です。」

中尾「具体的にはどんなテーマの研究をしていますか?」

暦本「おおきく二つの方向を探求しています。ひとつは、人間の自然な能力を最大限に引き出すようなインタラクションやその基盤となるセンサーの研究です。静電センシングによるマルチタッチインタフェースや圧力センサーを利用した滑らかなインタラクション、ハイスピードカメラによるジェスチャー認識などの研究をやっています。実際に動くセンサーやアクチュエータを構築しながら、その上でインタフェースの有効性を示すようなアプリケーションまでを手がけています。もうひとつは、位置認識やライフログといった、空間方向にも時間方向にも広がったインタフェースの研究です。無線LANを用いた位置認識プラットフォームを構築し、それを利用した記憶の強化・共有システムなどを研究しています。」


暦本教授

中尾「研究室では、どんな感じで研究をしているんですか?」

暦本「研究室は、私と特任助教の味八木さんが教員側ですが、それぞれの学生さんが、なるべく自主的に考える余地のあるように研究テーマを選定しています。研究室の定例ミーティングや、ディスカッションは結構密に行っています。また、他の研究室との合同勉強会や合宿などを通して、研究コミュニティとのふれ合いの機会を増やすことも心がけています。研究するテーマによっては、未踏ソフトなどへの応募も奨励しています。今年度も上期分だけで2件が採択されています。」

中尾「なるほど。」



写真:SmartSkinによる
ジェスチャーインタラクション
写真:位置認識基盤PlaceEngineが推定した
首都圏の無線LAN基地局データベース
写真:拡張現実感システムCyberCode
による実世界ゲーム

暦本「また、研究アウトプットは、国内はもとより、できるだけ国際的な舞台で発表すること、世界にアピールすることを心がけています。研究の進み方しだいでは、修士一年の学生さんでもどんどん国際学会へチャレンジしてもらっています。英語の壁というのは確かにあるのですが、それを乗り越えてしまうと、実は国内学会よりも国際学会のほうが楽しかったりしますし。」

中尾「楽しかったり?」

暦本「私の経験からいっても、一流国際学会であるほど、新しいアイデアを発表したときの反応がポジティブですしね。細かなことにこだわるよりも、大きな方向性に共感してもらえる場合が多いです。学生さんにとっては大きなチャレンジかもしれませんが、それだけに達成感も大きいです。いろんな国にも行けますしね!」

中尾「たしかにそうですね。研究室の学生はどのくらいいます?」

暦本「私は一昨年に着任しましたので、今年度の学生が第一期生です。修士1年が5名、博士1年が2名という構成です。」

中尾「暦本研を志望する学生には、どういうことを希望しますか?」

暦本「なによりも、まずは自分で積極的に考える人、ということでしょう。また、はったりで構いませんので、世界のトップをめざすと自分で言ってしまうような人に来てもらいたいです。私からももちろんいろんな「研究ネタ」を出していきたいと思ってますが、言われた通りをやるだけでは研究の醍醐味はわからないですよね。もちろん楽なこととは言えませんが、受け身でこなすのではなく、自分でチャレンジしていく態度が大事だと思います。実際に手を動かして物を作ることに躊躇しない、分からないことはどんどん聞いて、もちろん自分でも勉強して、という態度が重要だと思いますね。」

中尾「学際という点はどうですか?」

暦本「ヒューマンコンピュータインタラクション自身、本質的に学際的な研究分野だと思っています。私たちの研究室では、コンピュータサイエンス、ネットワーク、センシング、メディア処理などの工学的なバックグラウンドがコアになっていますが、それ以外にもデザインや認知科学的な、人間側の研究のバックグラウンドがミックスしているのがこの分野の特徴でしょう。従って、あらかじめ関連分野の知識をすべて持って進学してくるとは想定していません。研究テーマに応じて、必要な分野の知識を同時に勉強していく、というスタンスでいいのではないかと思っています。大きなイノベーションは、その専門分野にあまりにもはまりこんでしまっている人よりも、境界領域にいる人、他分野から入り込んできた人が多く出しているという調査結果もあるらしいですので、学際的なセンスは重要だと思っています」

中尾「どうもありがとうございました。」

 


写真:暦本研究室の集合写真

 

   
       
   
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