Q. 総合分析情報学コースは何を学び、そして研究することを目的としているのでしょうか?

A. コンピューターサイエンスを駆使し、実世界における状況を認識し、更に仮想空間内のデータと結びつけ分析する方法、情報分析を基に社会的利益のために活用する手法などを学びます。具体的には、ユビキタスコンピューティングにおける、状況に基づく情報処理(Context-Aware Computing)や、そのシステム開発、インターネットにおけるトポロジー解析やトラフィック解析、コンピューターネットワークセキュリティ、オーバーレイネットワークを用いた次世代インターネット基盤の研究、人工衛星に搭載された合成開口レーダーを用いて宇宙空間や空中から地表の様子を調査、解析する技術などを学びます。更に、これらの分野での最先端の技術を研究することを目指します。


Q. 入学するにあたって、必要な条件は何でしょうか?

A. 要項にあるように、本コースは大学院のコースですので、大学を出ていることは必要な条件となります。ただし、コンピューターサイエンスの分野の必要な知識があると認められれば、出身大学、出身学部などのバックグラウンドは関係ありません。


Q. またコンピューターサイエンスの予備知識はどの程度必要でしょうか?

A. 入学試験に出題される分野の予備知識が必要とされます。以下に例がありますが、これらの例が全てを尽くしているわけではありません。基礎数学は、理系の大学ではどこでも必修で学ぶ内容、例えば、線形代数、解析、微積分などの知識があること。アルゴリズムは、木構造、リストなどの基本データ構造、 Bubble Sort や Quick Sort などの学部レベルの基礎アルゴリズムなど。プログラミング分野では、何かの言語でプログラムを書けること。コンパイラがどのように動作するかなどの知識など。アーキテクチャは、ノイマン式のコンピュータの構造、仕組み、高速化の手法など。オペレーティングシステムは、基本となる概念、動作原理など。ネットワークは、現在のインターネットを理解する上で必須の概念が説明できること。例えば、TCP/IPとは何か?パケット通信とは何か?など。論理回路では、組み合わせ回路、順序回路、など。これらは、学部で普通に講義を受けていれば身に付いている知識です。


Q. その他にも、何か特別な素養が必要でしょうか?

A. 実社会における情報分析、および、それを基にした情報処理の改善に強く興味を持っていることが望ましいと考えています。例えば、ユビキタスコンピューティングにより、現代社会における、情報処理の利便性や安全性を向上させたり、インターネットにおけるセキュリティを強化したり、次世代のインターネットのアーキテクチャを提案したり、センサーネットワークや広域分散システムの構築したりする研究などが対象となります。


Q. 私は社会人なのですが、本コースは社会人も受け入れる用意があるのでしょうか?

A. 大学の学部卒業生はもちろんのこと、特に、社会人には大きく門戸を開いているのが本コースの特徴です。様々な情報分野で実務経験を積んだ社会人は、現代情報社会における様々な問題を理解しており、より良い情報社会への提言をする能力があると信じているからです。


Q. 社会人の場合会社に在籍したままで入学できるのでしょうか?

A. 可能です。ただし、講義の時間割は、社会人であることを考慮いたしませんので、夜に開講することはなく、基本的には昼間に講義があります。講義に出席できないと、基本的には修了に必要な単位取得できませんので、講義が開講している時期は、昼間に大学で講義を取ることさえ会社との間で調整できれば、社会人のままでも可能です。


Q. どのような問題が出題されるのでしょうか?

A. 過去の総合分析情報学コースの入学試験問題が参考になります。


Q. 総合分析情報学コースのカリキュラムはどのようになっているのでしょうか?

A. まず、修了条件ですが、修士課程は、講義と修士論文を含む30単位を取得することが修了条件となります。博士課程では博士論文を作成することが中心であり、修了のためには20単位の取得が必要となります。これらの単位数には、それぞれ、修士論文、博士論文の作成も含まれます。単位取得可能な科目には、学際情報学府のコース共通必修科目とコース別選択必修科目(コンピューターサイエンスの基礎科目、および総合分析情報学研究法)とコース共通選択科目(地理情報学、自然情報分析、医薬情報分析、センサー・アドホック・ネットワーク・オーバーレイネットワーク・P2P、ネットワーク・セキュリティに加え、国土管理学、検索エンジン、コンピュータウィルス、宇宙工学、などの集中講義)があります。


Q. 修士課程に修了において、修士論文を作成するのでしょうか?

A. はい、修士の学位の取得条件に修士論文があります。卒業時には、東京大学大学院学際情報学の修士号が授与されます。


Q. 学際情報学府ということは理系文系両方の学際的な素養が必要でしょうか?

A. 学際情報学府の中で本コースは理系的な素養を必須としたコースであり、特に文系の知識が必須ではありません。理系的な基礎知識をベースとして、入学後、学際的な方法論で教育と研究が行われます。


Q. 卒業後の進路はどのように考えれば良いでしょうか?

A. 本コースでは、現代社会におけるITシステムやそれらが扱う膨大な情報を分析し、それを社会活動に役立てることのできる、あたらしいタイプのITの専門家の育成を目指しています。このような人材は、これからの日本の情報社会において一番必要とされる人材となるであろうと考えています。もちろん、本コースは大学院ですので、引き続き大学の研究分野への進路もありますが、それだけにとどまらず、様々な組織においてCIOとして活躍できるような、幅広い広い進路が開けていると考えられます。


Q. 総合情報分析学コースで育成を目指している、「最高情報責任者(CIO)」とは何ですか?


A. 一般的に「CIO: Chief Information Officer」とは、情報分析、情報処理に関する専門的な知識や能力を持ち、企業等における情報戦略を司る者をいいます。米国の企業で頻繁に用いられる呼称です。情報分析、情報処理に関する技術的な能力だけでなく、CEO(最高経営責任者)に対して適切な報告・助言を行うことが期待される役割を担います。また、現代におけるITや情報分野にとって、本質的に重要なことは、ITのシステムが大規模であり複雑であること、さらにITのシステムは社会と深く関わっており社会制度と不可分に考えなければならないことがあります。従来型の理工系にありがちな、狭い特定の分野の専門的技術を極める、いわゆる「研究肌」タイプの人材では、こうしたことに十分対応できないと考えています。そこで、本コースでは、実社会における巨大なITシステムやそれが扱う膨大な情報を統御し、更にそれを社会活動に役立てることのできる、あたらしいITの専門家像を確立して、育成したいと考えています。そうした専門家に付けられた呼称には、適切なものが今は見当たらないのですが、現在であれば「CIO」が最も近いと考えて、この名称を例に使いました。


Q. 博士課程において、社会人は会社との両立は難しいでしょうか?束縛時間などはどれくらいなのでしょうか?必要なら退職も考えています。

A. 博士課程では、博士論文を執筆するための研究活動が主となります。従って、修士課程のように、昼間にかなりの時間を必ず割かなければならないということはありません。あとは、博士論文となる研究活動をいかに行うかということですので、どのようにすすめるかはよく指導教員と話し合ってきめることになります。


Q. 既に他の大学院に内定している人も、その内定を維持したまま受験できるのでしょうか?

A. 受験できます。しかも、両方合格した場合にどちらに入学するかは、本人の希望で決めることができます。


Q. 本コースに科目履修生や聴講生がありますか?または、講義だけを受けることはできますか?研究生は受け入れていますか?

A. 科目履修生や聴講生、講義だけを受けるといった仕組みはありません。本コースのカリキュラムを履修するためには、修士課程または博士課程に入学する必要があります。研究生も、日本人の場合は受け入れていません。